肛門管にできた裂創または潰瘍病変で、俗に「切れ痔」「さけ痔」と言われるものです。
硬い便が出た時にできる浅い急性裂肛と、長い経過の中で繰り返されて、肛門潰瘍と見張りイボや肛門ポリープを伴う慢性裂肛に分類されます。
多くは便秘による硬い便や太い便が原因となって切れます。
裂肛は女性に多く、これで悩んでいる女性は非常に多いです。
時に軟便・下痢などによってもできることがありますがこのタイプは男性でも見られます。

(症状と特徴)

排便時または排便後の痛みが数時間続くことがあります。
この痛みを避けるために排便を我慢してしまうと、さらに便が硬くてなるという悪循環となります。
出血は拭いた紙や便にスジ状に少し付着する程度です。
慢性化すると見張りイボと呼ばれる肛門部の突起物(皮垂)や肛門ポリープが生じ、ついには太い便が出せない状態(肛門狭窄)になることがあります。

(治療方法)

便秘や下痢が原因ですから、まず食事に注意し適宜、軟便剤や整腸剤を服用して予防することや、繰り返さない事が最も重要です。
痛みの強い時は、入浴や坐浴もお勧めします。患部には、直接作用する局所麻酔薬やステロイドを含んだ軟膏や坐薬を使用します。
保存的療法が効果なく肛門狭窄の傾向の場合は積極的に手術をおこなって完治を目指します。

(予防)

便秘や下痢を起こさないよう、繰り返さないように、排便をコントロールすることが大切です。