男性、女性ともにもっとも多いいぼ痔


Q

いぼ痔になる方どのくらいいますか?

A

いぼ痔は痔の中で一番多い病気で、男性も女性も肛門科を受診する方の半分はこのイボ痔です。


Q

そもそも、いぼ痔ってどうして出来るんですか?

A

いぼ痔はその名の通り肛門にいぼができる病気です。
便秘ですとか長時間座りっぱなしの姿勢重い物を持つ冷え症などで肛門に負担がかかったり血流が悪くなったりすると軟らかい肛門の組織がうっ血して腫れていぼのように膨らんできます、これがいぼ痔になります。
いぼ痔は肛門の奥のほうに出来ることが多い病気です。

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Q

いぼ痔の症状はどういうものですか?

A

いぼ痔の症状として特徴的なのは排便の時に出血することです。
肛門の中にできたいぼ痔の表面というのはとても軟らかいので排便をする時、便とこすれてすぐに出血してしまうのです。
出血の量はお尻をふいたトイレットペーパーに少し付く程度のこともありますけれども、シャーと出るとかぽたぽた出るとか、便器が真っ赤になるくらい大量の出血になる場合もあります。
ひどい出血が続く場合はそれによって貧血を起こしてくる方もいます。


Q

そんなに出血することもあるんですね、たぶん痛いでしょうね?

A

実はいぼ痔ができやすい直腸の粘膜には痛みを感じる神経がありませんので肛門の奥の方にできたいぼ痔は基本的に痛くありません。


Q

そうなんですか、出血はあっても痛くはないんですね?

A

肛門の出口付近にできたいぼ痔や奥にできたものが大きくなって肛門から外に飛び出してくるようになった場合は痛みを感じます。


Q

いぼ痔はどうしたら治すことができますか?

A

いぼ痔の治療で手術が必要になるのは2~3割程度で多くはくすりと生活改善で症状が改善します。
くすりには坐薬と軟膏があり出血や腫れ、痛みを抑える作用があります。
便秘、便が硬い場合は軟便剤を使用します。

 ただ、一度できてしまったいぼ痔はくすりやセルフケアで消えてなくなることはありません。
そのためいぼが小さくてそれほど気にならないうちはくすりによる保存療法でいいですが、いぼが大きくなって排便の度にいぼが肛門から出てくるとか、指でいちいちいぼを指で押し込むのが煩わしい、出血が続いてひどい貧血があるなどの生活に支障をきたすようになってきたら手術や注射療法などのより積極的な治療が必要になります。

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Q

いぼ痔の手術とはどんなものですか?

A

現在イボ痔の手術でもっとも広く行われているのが結紮切除術という方法です。


Q

結紮切除術、結紮ってどういうことがですか?

A

はい、結紮っていうのはイボ痔の根本を糸をしばるという意味なんですけれども、この糸でしばることで血流を止めてからメスでいぼを切り取ります。
手術にかかる時間は30分か45分くらいです。
日帰り手術を行っているところもありますけれども、排便や術後の痛みを管理するために1週間程度の入院で手術をすすめているところが多いです。

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Q

手術をした後はいつ頃から日常生活に戻れますか?

A

お風呂も手術の2、3日後から入れますし、退院したら普段通りの生活を送っていただいて大丈夫です。
ただ、手術のあと2週間程度は傷口から出血恐れがありますので激しい運動ですとか旅行、長時間座りっぱなしでいること、またアルコールは避けてください。
また痛みを助長する香辛料などの刺激物も避けていただくようにしています。


Q

もう一つの注射という治療ですが、これはどんなものですか?

A

いぼ痔の根本に特殊なくすりを注射していぼを硬くするという方法です。
注射でいぼを固めることで出血したり肛門から出てきたりすることを防ぐことができます。
こちらも日帰りで行っているところもありますし、2~3日入院するところもあります。

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Q

注射でいぼを固めるんですね?注射って聞くとやっぱり痛いですよね。

A

この注射は痛みを感じない粘膜の部分に注射しますのであまり痛みは感じないでできます。


Q

それを聞くと、やっぱり手術と比べると注射はからだの負担が少なくて気軽に受けられそうですね。

A

そうですね。そう言われる患者さんは非常に多いです。
そもそもメスを入れないで済むということで注射の治療を希望される患者さんもいます。
ただ、手術に比べて注射療法の方が再発する確率が高いこと、また現在の手術の方法、結紮切除術は傷口も小さくてからだへの負担も小さくなっています。
将来の再発しないために手術を勧める場合もあります。
 手術の時に注射療法を併せて行う、手術+注射(ALTA)療法も多く行われています。
なんとなく手軽そうだからという理由だけで選ぶのではなく、その辺りのこともよく主治医の先生と相談してどちらを選ぶかよく検討することをおすすめします。


Q

それぞれのメリットとデメリットよくまず理解することが大切なんですね。もし家族でイボ痔になったという方がいたらどんなことに注意をしてあげたらいいですか。

A

手術にしろ注射にしろせっかく治療を受けてもまた便秘を繰り返しますと、イボ痔が再発する恐れがあります。
ですからご家族の方も食事に気を付けてあげたり、運動をすすめたりして便秘をしないようにサポートしてあげてください。

※イボ痔の手術と注射、医師とよく相談して決めましょう。