女性に多い切れ痔


Q

トイレで痛みを感じてトイレットペーパーに血がついていたという経験のある方、たぶん多いと思いますが、これが切れ痔ということですか?

A

はいそうです、切れ痔の最大の原因は便秘なんですけれども、硬くなった便を無理に押し出そうとする時に時に肛門の表面が切れたり、さけたりしてしまいます。
これが切れ痔です。

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Q

肛門の表面が切れるって聞くとやっぱりこれ痛いですよね。

A

そうですね。便が傷口を通過する時にピリピリとした非常に強い痛みを感じる方が多いです。
出血もありますけれども、多くの場合はトイレットペーパーに少量付く程度のことが多いのが特徴です。
切れ痔が慢性化しますと排便した後も強い痛み、ジーンとした痛みが続くことがあります。
また、傷口の周囲が腫れて炎症を引き起こすと切れ痔の周りが硬く盛り上がった状態になることがあります。
そうしますと、肛門が狭くなったりまた便が細くなるという症状が見られる場合もあります。


Q

この切れ痔、女性に多いのですか?

A

男性でも切れ痔になる場合はありますけれども、やはり男性よりも女性のほうが便秘に悩まれている方が多いので、切れ痔は女性に多いのが特徴です。
特に20代から40代の若い女性に多いというのがこの切れ痔の特徴です。
若い女性のほう肛門の筋肉の緊張が強い方が多いものですから、そうすると切れ痔になりやすいと言えます。


Q

若い方に多いんですね。

A

そうですね。一方65歳以上のお年を召してくるとこの切れ痔という病気はあまり見られない特徴があります。


Q

この切れ痔、治すにはどうしたらいいんでしょうか?

A

はい、多く場合切れ痔はセルフケアで改善することができます。
まず第一に原因となる便秘を解消することが大切です。
初期の軽い切れ痔であれば便秘の解消と市販の軟膏ですとか坐薬だけで治ることも多いです。
またお風呂に入ったり洗面器にお湯を張ってお尻だけをつけたりする座浴ですね、これによって肛門周囲の血流を改善することや、トイレの温水洗浄などで傷口を清潔に保つことも症状を和らげるのに有効です。

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Q

こういったセルフケアでは改善しない時はどんな時ですか?

A

切れ痔を繰り返していて肛門が狭くなっている場合ですとか、排便時の痛みが強くてトイレに行くのが怖くなってしまっている場合、さらに生活習慣の改善やくすりで十分な効果が得られなかった場合、こういった場合には肛門科を受診していただくことをお勧めします。


Q

ただ、肛門科というとやっぱりちょっと恥ずかしいというか行くのがためらわれるような気がするんですが。

A

そうですね。女性に限らず男性のみなさんもそうおしゃられますけれども、ご自分で痔だと思っていても、実は大腸がんですとか、そういうほかの病気のこともありますので、出血や肛門の違和感があれば肛門科、または消化器外科などを受診していただきたいと思います。
診察をする時は基本的には横になって膝を曲げた姿勢をとってもらいますけれども、ズボンや下着を全部脱ぐ必要はありません。
少しだけおろしてもらってタオルなどをかけるので診察の時にお尻がまる見えというようなことはないように診察しています。


Q

いろいろ配慮してくださっているんだな、と思うんだけど、この切れ痔、病院ではどんなふうに治療されているんですか?

A

はい、切れ痔の患者さんは排便の度に痛くなるのが怖くてつい便意を我慢してしまいます。
そのため便秘が悪化する、そうしますと、便が硬くなってさらに傷口を傷つける。
悪化した傷口が硬くなってくると肛門が狭くなってさらに便が出にくくなる、このような悪循環に陥って便秘と切れ痔をどんどん悪化させてしまうことがあります。


Q

そうなんですね。じゃどうやって治療するんですか?

A

肛門をゆるめたり締めたりする肛門括約筋という筋肉があるんですが、その一部が突っ張っていることが肛門が狭くなっている原因になっていますので、この突っ張っている括約筋をメスでほんの1㎝弱なんですが切れ目を入れます。
そうしますと、硬く筋肉の緊張突っ張っている部分がゆるみますので、狭くなった肛門が広がってスムーズに排便しやすくなります。
この手術は傷口が非常に小さいので、痛みや患者さんの負担が少なくてすみます。

※切れ痔には便秘の解消、悩んでいたら早めに医療機関を受診してください。